2011年3月28日月曜日

魅力的な独自要素と日本展開,「Perfect World」に続く






 「Perfect World -完美世界-」をサービス中のシーアンドシーメディアが新しくサービスを予定しているMMORPGが,「夢世界-武林外伝-」だ。Perfect Worldの制作元,北京完美時空網絡技術有限公司の2作目で,シーアンドシーメディア独自の運営タイトルとしても2作目となる。

 日本でのサービス時のタイトルは「夢世界-武林外伝-」となった。「完美(完璧な)世界」の次は,「夢の世界」ということか。

 

 このゲームは,もともと中国の大人気コメディ番組「武林外伝」をMMORPG化したものだ。中国では,その世界をPerfect Worldのシステムを使ってゲームにしたものということで分かりやすい棲み分けができていた。しかし,日本では元の番組自体がまったく知られていないので,ぱっと見て「Perfect Worldの可愛い版?」という印象しか持っていない人も多いのではないかと思われる。

 ゲームシステムの多くは,Perfect Worldから引き継がれている。ではPerfect Worldとの違いはなにか,原作の知名度が低い日本ではどのように展開していくのかなどについて,シーアンドシーメディア オンライン事業部統括戦略部部長木村武志氏,同マーケティング課曽羽孝則氏,オンライン事業部運営部山下養一氏に話を聞いてみた。

 

Perfect Worldとどこが違う?




4Gamer(以下4G):本日はよろしくお願いします。最初にゲームの概要を教えてください。








シーアンドシーメディア オンライン事業部統括戦略部マーケティング課曽羽孝則氏

曽羽孝則氏(以下,曽羽氏):基本的に,Perfect Worldのシステムを引き継いでいます。飛行などのPerfect World独自の部分が省かれていますが,騎乗戦闘や変身などの要素が,新しく加わったものとなっています。コミュニケーション要素としては,Perfect Worldで好評だった「抱っこ」「キス」などを継承しています。日本のPerfect Worldでは最近追加されたばかりの結婚システムは,夢世界では最初から組み込まれる予定です。また,Perfect Worldのときよりも結婚のメリットは大きくなっていまして,例えば,結婚しなくても抱っこはできますが,「結婚しないとキスできない」という慎ましいシステムになっていたりします。



4G:Perfect Worldでは無制限にできましたから,確かにそれもどうかという気はしますね。



曽羽氏:ある程度,制限があったほうが,燃える人もいるのではないかと思います。また,ある一定レベルまで行かないと結婚できないといった制限もあります。また,夫婦のみを対象としたクエストも多数揃えられていますので,結婚したほうが楽しみ方は広がりますね。











4G:そのほか,Perfect Worldと変わった点としてはどんなものがありますか?



曽羽氏:一番の違いは,要求スペックがかなり低くなったことですね。3Dのオンラインゲームとしては,かなり低いスペックでも動作するものとなっています。4Gamerの読者さんあたりではゲーム用PCを持っている人も多いのでしょうが,そうでない人にとっても楽しめるものとなっています。








シーアンドシーメディア オンライン事業部運営部山下養一氏

4G:クライアントサイズはどれくらいですか?



山下養一氏(以下,山下氏):インストールベースでだいたい1GBくらいですね。



4G:それくらいなら容量の心配もなさそうですね。





 夢世界のゲームクライアントは,Perfet Worldで使用された完美時空独自エンジンAngelicaの最適化版が使用されているものの,要求スペックはかなり引き下げられ,全体に軽くなっている。

 グラフィックスカードの必須条件は,Intel GFX2(Intel 865Gなど)以上となっている。当初発表されていたスペック(RIVA TNT2以上)からは引き上げられているのだが,これはかなり安全策をとったものと思われる。さすがにTNT2では(動かなくはないのだろうが),快適なプレイは期待できそうにない。

 大雑把にいって,Pentium 4(ないし,そのCeleronタイプ)が搭載されているPCでIntel 845Gなどが使われている場合は,グラフィックスカードが必要になる。865G,915Gなどはグラフィックスカードなしで,チップセット内蔵グラフィックスだけでも大丈夫。Pentium III世代だとグラフィックスカード次第という感じか。Pentium M搭載くらいのものであれば,ノートPCでもほとんど問題がなさそうだ。





曽羽氏:初心者サポート機能としては,オンラインゲームでは珍しいツールかなと思うのですが,マップをクリックするとそこに移動するようなものが用意されています。逆に,ある程度ゲームをやり込んだ人向けの機能としては,ランキングシステムが用意されています。これはゲーム内で自動的に更新されていくものなのですが,レベル(経験値)やゲーム内のコインなどによってプレイヤーキャラクターの順位が公表されるというものです。毎週,1位の人には,「称号」が名前のところに付くようになります。



4G:その称号というのはどんなものですか?



曽羽氏:これはランキング入賞者の人しか名乗れないものなので,それを維持するにはレベルアップなどを続ける必要があり,ゲーム内で競い合う,ゲーム内が活性化する要素として楽しんでいただけたらと思っています。



 どちらも「飛天オンライン」の特徴的なシステムに似ているのはちょっと気になったが,これら以外でも,ほかのカジュアル系MMORPGがかなり研究されている感じを受けた。



アバターアイテム中心のキャラクターカスタマイズ




4G:キャラクターのカスタマイズについてはどのようになっていますか? 



曽羽氏:キャラクター作成は,Perfect Worldのような細かいキャラクターエディットではなく,5種類くらいずつのパーツを選んでいくタイプですが,夢世界では,アバターアイテムが充実していまして,とくに顔部分では目,鼻,口などといった細かい部分でのカスタマイズができるようになっています。



4G:……鼻ですか?



曽羽氏:猫の鼻を付けたり,天狗の鼻,ピノキオの鼻とかいった感じですね。



4G:なるほど。










アバターアイテムの例。背中に羽根を付けると,ふわふわ浮いて移動できるが,飛べるようになるわけではない



曽羽氏:Perfect Worldでは,キャラの作成時に,凝る人は非常に凝ったカスタマイズをしているのですが,ちょっとハードルが高くなっていますよね。もっと手
引用元:ロハン(新生R.O.H.A.N) 専門サイト

2011年3月10日木曜日

「Eee PC 1016P」徹底検証―?.5時間駆動のスタミナNetbook

 ASUSTeK Computer(ASUS)の「Eee PC」は、元祖Netbookにして、現在も国内外で豊富なラインアップを展開するミニノートPCの一大ブランドだ。「Eee PC 1016P」は、国内で販売されている同シリーズでは最新モデルとなる。

【拡大画像や他の画像】 【表:ベンチマークテストの結果】

 同じタイミングでリリースされたプレミアムモデルの「Eee PC 1018P」が、薄型軽量ボディにUSB 3.0など目新しい仕様を搭載しているのに対し、下位機種となる1016Pはボディもスペックも比較的オーソドックスな仕上がりだ。もっとも、Eee PCの一員らしい個性は備えており、約8.5時間の長時間バッテリー駆動を特徴としている。

 製品ラインアップは、ボディカラーの違いでブラックとシルバーの2色を用意するが、デザイン以外のスペックは変わらない。今回はシルバーのモデルを入手したので、性能や使い勝手を検証していこう。

●「アルミヘアライン調デザイン」のコンパクトなボディ

 ボディのサイズは262(幅)×178(奥行き)×23?36(高さ)ミリとなっている。フットプリントは1018Pとほぼ同じだが、厚みはベース部も液晶ディスプレイ部も増している。最も厚みのある部分は背面のバッテリーが装着されている部分で、実測値も36ミリで相違ない。公称の重量は約1.27キロで、実測ではそれより軽い1250グラムだった。1018Pに比べると少し大きくて重いが、持ち運びやすさはNetbookとして十分だろう。

 天面には粗めのヘアライン加工が施されており、一見金属のように見えるが、「アルミヘアライン調デザイン」とされているように、実際は金属ではなく、樹脂の表面を金属風に仕上げてある。アルミニウム素材を使っている1018Pに比べて天面部の厚みがかなりあるのも納得がいく。

 液晶ディスプレイのフレームやキーボード周囲も同様の仕上げだ。底面部に細かいテクスチャを配している点も1018Pと同様だが、これも1016Pのほうはモールドが浅く、バッテリー部は省略されているなど、よく見ると所々でコストダウンが見られる。

 もっとも、誤解しないでほしいが、1060Pに安っぽい印象はない。高級感を比べれば1018Pのほうがはっきり上といえるが、1060Pもシャープなラインですっきりとまとまっており、スタイルも質感も悪くない。Netbookとしては高級感がありすぎるよりも、これくらいあっさりした仕上げのほうが気兼ねなく携帯できる、というユーザーも少なくないのではないだろうか。

 底部に搭載するリチウムイオンバッテリーの容量は47ワットアワー(4400mAh/10.8ボルト)で、公称の駆動時間は約8.5時間となっている。厚みが増したぶん、1018Pより容量の大きなバッテリーを搭載しており、駆動時間も長くなっている。ほかのメーカーのNetbookはバッテリーがあまり長持ちしない製品が多いだけに、この長時間駆動は強みだ。

 付属のACアダプタも、1018Pを含めたほかのEee PCシリーズ同様に小型軽量で持ち運びやすい。実測でのサイズは34(幅)×88(奥行き)×26(高さ)ミリ、電源ケーブルを含めた重量は210グラムだった。ACアダプタのDC入力端子は非常に細いので少々不安を覚えるが、特に抜けやすいことはなく、かなりしっかりしている。

●Atom N455を中心とした基本システム

 基本システムにはAtom Nシリーズのプラットフォームを採用。CPUにはグラフィックス機能を統合したAtom N455(1.66GHz)、チップセットにはIntel NM10 Expressを搭載する。Atom N455は2010年6月に発表されたAtom Nシリーズの新モデルだが、2010年前半に登場したNetbookの多くが搭載するAtom N450(1.66GHz)との違いは、内蔵のメモリコントローラがDDR2 SDRAM対応からDDR2/DDR3 SDRAM両対応となり、TDP(熱設計電力)が5.5ワットから6.5ワットに上昇したことだ。

 1016PでもメインメモリはDDR3 SDRAM(PC3-5300 SO-DIMM)を採用しているが、速度的にはこれまでのAtom N450搭載機と変わっていない。同クロック、同容量ならDDR2よりDDR3のほうが若干省電力というメリットはあるものの、単純にメモリの生産がDDR2からDDR3へシフトしていることに対応したものだろう。

 標準の搭載メモリ容量は1Gバイトで、最大容量は2Gバイト(メモリの増設や交換による問題についてはサポート対象外)とされている。SO-DIMMスロットは背面のネジ止めされた小型カバー内に1基あり、標準で1Gバイトのモジュールが装着済みだ。データストレージとしては250Gバイトの2.5インチSerial ATA HDDを搭載する。HDDにアクセスできる小型カバーなどは用意されていない。

 グラフィックス機能は、Atom N455内蔵のIntel GMA 3150グラフィックスコアを利用する。DirectX 9.0(Shader Model 2.0)互換のグラフィックス機能だが、MPEG-4 AVC/H.264やVC-1のデコード機能はサポートせず、HD動画コンテンツの再生は難しい。

●IEEE802.11nの無線LAN、Bluetooth 3.0+HSを標準装備

 有線LANは100BASE-TXまでの対応にとどまるが、IEEE802.11b/g/n対応の無線LANに加えて、Bluetooth 3.0+HSを内蔵しているのが目立つ。Bluetoothの新規格であるBluetooth 3.0+HSでは、無線LANの通信方式を取り入れることで最大24Mbpsの高速データ転送を実現している。

 端子類は、3基のUSB 2.0ポートのほか、SDメモリーカードスロット(SDHC/MMC対応)、アナログRGB出力、ヘッドフォン、マイクなど、標準的なNetbookと同等の内容だ。1018Pとは異なり、本体が電源オフや休止状態でもUSBポートからの充電が行える機能の「USB Charge+」は省かれている。液晶ディスプレイのフレーム上部には、30万画素のWebカメラとデジタルマイクを内蔵している。

●データバックアップソフトや独自の電源管理機能を用意

 プリインストールOSにはWindows 7 Starter(32ビット)を採用している。低価格PC向けの機能制限版で、Windows 7 Home Premiumと比べると、DVD-Video再生、Windows Media Centerなどのマルチメディア機能やタッチパネル関連機能などが省かれており、壁紙やデスクトップテーマの変更もOSの標準機能としては行えない。

 付属ソフトは1018Pに比べると少なく、シンプルな構成だ。デスクトップの上部にはランチャーソフトの「Eee Docking」が標準で常駐しており、独自ツールやサービスにアクセスできる。独自ツールとしては、電力管理機能の「Super Hybrid Engine」(SHE)や画質調整用の「Eee Splendid」を用意する。

 そのほか、データバックアップソフトの「PowerRecover」を備えているのはユニークだ。これは主にビジネス用途でのデータ消失を防ぐ目的で付属したという。

 ASUS独自の電力管理機能であるSHEについては、ほぼ1018Pと変わらない。タスクトレイに常駐したユーティリティから、Autoモードを含めて、4つの電力管理モードを選択することが可能だ。

 High Performanceモードが標準状態(SHEオフ時と同様)で、Super Performanceモードにするとわずかにオーバークロック(約1708MHzで動作/ベースクロック170MHz)する。逆に、Power Savingモードでは、最大の動作クロックを少し押さえる仕組みだ(約1331MHzで動作)。

 デフォルトではAutoモードに設定されており、ACアダプタ駆動時はHigh Performanceモードで動作し、バッテリー駆動になるとPower Savingモードへ自動的に切り替わる。切り替えの際にオンスクリーン機能できちんとモードが表示される点は好印象だ。

●10.1型ワイド液晶ディスプレイは1024×600ドット表示

 液晶ディスプレイのサイズは10.1型ワイド、画面の表示解像度は1024×600ドットに対応する。この仕様は1018Pと同じだが、やはりWindows 7を活用するのに狭さを感じるのは否めない。価格が高くなるとはいえ、1366×768ドットの画面解像度が欲しかったところではある。

 表示品質についても1018Pと同じ印象を持った。表面が光沢仕上げされているため、映り込みは多少あるものの、輝度は高く、鮮やかな表示だ。ややメリハリがきつめの発色で、階調表現の滑らかさを少し欠く。

 液晶ディスプレイのヒンジは約130度まで開く。上下の視野角は結構狭いが、机の上で使うにしてもヒザの上で使うにしても、よほど特殊な姿勢で見ない限りはチルト調整で対応でき、実用上困ることはないと思われる。

 前述の通り、画質調整ツールとして「Eee Splendid」がプリインストールされており、色合いや動画再生時のコントラストなどを調整できる。調整前と調整後の画像を並べて見比べながら、4つのプリセットから好みの色合いを手軽に選ぶことが可能だ。

●アイソレーション型キーボード、ボタン一体型タッチパッドを採用

 キーボードはキートップの間隔が離れたアイソレーションタイプを採用している。キーボードユニットとキーボードベゼルを一体化しており、見た目の印象がよいうえ、堅牢性も高く仕上がっている。

 キーボードユニット自体は1018Pと同じものを用いている。ボディの横幅いっぱいを使った6段配列のキーボードは標準的なキー配置で特にクセがない。キーピッチは主要キーで約17.5×16.5ミリ、半角/全角キーで約13×16.5ミリ、F1?F12キーで約15×13ミリという仕様だ(いずれも実測値)。

 キータッチについては、中央部を強く押し込めば沈まないこともないが、通常の利用法ではたわみなど皆無で、キーストロークが浅いものの、キーのスイッチの感触も良好だ。10.1型クラスの液晶ディスプレイを備えたミニノートPCとしては、かなり打ちやすいキーボードといえる。

 キーボードの手前にはタッチパッドを装備している。左右のクリックボタンとパッド領域が一体化したタイプで、ボタンの目安となる位置にラインが引かれている。ボタンのスイッチはストロークが若干浅めだが、感触自体は悪くない。パッド領域は80.5×38.5ミリと横に長く確保されており、指の滑りもよい。

 タッチパッドにはElan製のドライバを導入しており、2本指での縦横スクロールや3本指タップによる右クリックメニュー表示などの拡張機能が利用できる。1018Pが導入しているシナプティクス製ドライバに比べて機能は少ないが、使い勝手はよい。2本指を使った縦横スクロールの操作性などはこちらのほうが反応がよく、より快適に感じた。

 なお、タッチパッドを操作する指先や手のひらの違いを感知し、誤って指先以外がタッチパッドに触れてしまってもカーソルの位置が変わらないで済む「パームプルーフ?テクノロジー」も搭載している。

 キーボードの左奥には2つのワンタッチボタンが並ぶ。ボタンの配置は1018Pと同じだが、1016Pでは2つのボタンが一体成形で、スイッチの感触が少し安っぽく感じる。

 右側はワイヤレス通信機能(無線LAN/Bluetooth)を切り替えるボタンで、無線LANとBluetoothのオン/オフが別々に行える。

 左側のボタンはビジネス利用を想定した「プレゼンテーションモード」ボタンだ。外部ディスプレイやプロジェクターと接続した状態で、このボタンを押すと、自動的に内蔵の液晶ディスプレイ+外部ディスプレイの同時表示モードに切り替わる。また、プレゼンテーションソフト(PowerPointのほか、KINGSOFT Presentationに対応)でデータを開いていれば、このボタンを押すことで、自動的にスライドショー画面を表示する。

●ベンチマークテストで性能、バッテリー駆動時間などを検証

 ここからはベンチマークテストで実際のパフォーマンスについて検証していく。ASUS独自の電力管理機能であるSHEはACアダプタ駆動時の性能には特に影響がないと思われるが、一応オフにして測定している。

 Windowsエクスペリエンスインデックスのスコアは右に掲載した通りだ。Atom N475搭載の1018Pと比べると、プロセッサで0.1、メモリで0.3低いサブスコアとなっている。1018Pではメモリを2Gバイト搭載することもスコアの差に影響しているのだろう。

 定番のテストプログラムに関しては、同条件で測定した1018P(Atom N475、PC3-5300 2Gバイト)の結果だけでなく、Eee PC T101MT(Atom N450、PC2-5300 2Gバイト)の結果も一緒に掲載した。

 PCMark05の結果は、Atom N450を搭載するT101MTとCPUスコアでまったく同じ、Memoryスコアもほぼ同じといってよいだろう。CPUの動作クロックが高いAtom N475はどちらもワンランク上のスコアをマークしている。総合スコア(PCMark)やGraphicsで1016Pのスコアが悪いのは、メモリが1Gバイトと少ないためだと思われる。1016PはHDDスコアも低いが、これは評価機に搭載されていたHDD(WD2500BEVT)が単純に遅いということだろう。1016PとT101MTは3DMark06、FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3でもほとんど同じスコアで、1018Pのみ一歩抜け出たスコアとなっている。

●長時間駆動をうたうバッテリー性能はホンモノか

 バッテリー駆動時間は、海人氏のBBench 1.01を使い、10秒ごとにキー押下、1分おきに無線LANでWebアクセスを行う設定でテストした。電源プランはOS標準の「バランス」(ディスプレイの輝度40%)を利用し、電力管理機能のSHEを使った場合(デフォルトのAutoモード)とSHEをオフにした場合の両方でバッテリー駆動時間を計測している。

 結果はSHEオフでは6時間36分、SHE有効時は6時間59分駆動し、いずれもバッテリーの残り6%で休止状態に移行した。公称値の約8.5時間にはおよばないが、かなりの長時間駆動が可能なことを実証する結果だ。SHEのAutoモードではバッテリー駆動時にはPowerSavingモードに自動的に移行し、最大の動作クロックが約1331MHzに下がる。パフォーマンスも相応に下がるが、バッテリー駆動時間を少しでも延ばしたいならば、利用してみるのもよいだろう。

●ボディの発熱と騒音もチェック

 室温28度の環境でPCMark05を実行した直後のパームレスト表面温度は左手側で33.5度、左手側で31度が最高で、体感的に暖かいとも感じない。FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3を3時間ほどループで実行した後でも、パームレストが温かいと感じることはなかった。Atomのシステムを利用していても、ここまで熱設計に優れた製品はなかなかないだろう。

 暗騒音32デシベル、室温29度の室内において、本体正面から5センチの距離で測定した動作音(騒音レベル)は、アイドル時で35デシベル、低負荷時で36デシベル、高負荷時で40デシベルだった。アイドル時はファンが回っていることが分かる程度の音で、ファンの動作音は低く抑えの効いた音なので、ほとんど気にならない。

 ファンノイズは負荷をかけても少し大きくなるくらいにとどまる。高い負荷をかけると騒音レベルがそれなりに上昇するものの、空調やほかの家電製品が動作している中では、ほとんど分からない程度だ。ただ、今回使った機材においては、ヘッドの退避音なのか、HDDがほぼ常時チャカチャカとした音を立てており、空調などを停止した静かな環境では少々気になった。

●使い勝手を重視するユーザー向けのNetbook

 1016Pの価格は4万4800円となっている。プレミアムモデルに位置付けられている1018Pと比べると、コストダウンの跡は見られるものの、実用面に影響する部分は少ない。

 弱点を挙げるならば、液晶ディスプレイの表示解像度が低い点だろう。またメモリ容量が1Gバイト、HDD容量が250Gバイトといった、基本スペックも少し物足りない。ストレージの好みは人によってかなり変わってくるだけに、自分で交換することを前提に購入するユーザーも少なくない。そういうユーザーにとっては、内蔵HDDが底面カバーから簡単に交換できるような構造になっていない点もマイナスだろう。

 それでも、長時間のバッテリー駆動時間は魅力だし、入力環境や発熱の処理など、使い勝手に関する部分は非常によくできている。キーボード左上のプレゼンテーションモードボタンや、データ消失のリスクを減らすバックアップソフトも備えており、ビジネスシーンでの利用に配慮している点も目を引く。

 手ごろな価格で買えるモバイルPCを探していて、液晶ディスプレイの解像度やパフォーマンスよりも携帯性やバッテリー駆動時間、キーボードの使いやすさなどを重視するというユーザーには十分おすすめできる。


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引用元:吹田市歯科の総合情報サイト